シルバーアクセサリーの制作方法
【シルバーアクセサリーの作り方】
【ハンドメイド、手作り方法】
アクセサリー(シルバーアクセサリー)を作る方法を大きく分けると主に3種類の方法があります。
◆彫金
◆ロストワックス
◆シルバークレイ(銀粘土)
の3方法です。
【彫金】
彫金とは銀地金を直接加工してシルバーアクセサリーを作る方法です。
銀の丸線、銀の板などをノコギリ、ハンマー、ヤスリ、ペンチなど様々な工具を使い、
切ったり、曲げたり、延ばしたり、叩いたり、繋げたり、貼り合わせたりして作る、
硬い地金を加工するので比較的難易度の高い作り方になります。
例えば銀を延ばしたりつぶしたりするには大きなローラーを使います。
銀ロウを使い繋げたり、曲げたりしやすいように焼きなます
(熱した後ゆっくり冷ますと銀が柔らかくなる)のに ガスバーナーを使うなど、
硬い地金を加工する為に専門の比較的高額な工具が必要になります。
また、銀の表面処理の為、取り扱いに注意が必要な硫酸や塩酸を使うので十分な知識も必要です。
(大量の水と高濃度の硫酸を一気に混ぜると爆発します。)
1人で趣味として始めるにはちょっと敷居が高く取りかかりにくい方法ですが、
プロも使う製作方法なので、慣れれば高い精度の物を作る事ができるようになります。
お手軽に始めたい場合は、オーダーメイドを行っている アクセサリーショップやジュエリーショップ、や
カルチャースクールでは 彫金教室を行っている所もあります。
教室に通えば道具も貸してくれるので、最低限の工具と地金ですみます。
2時間2,000円前後の料金設定の所が多いです。
まずは教室に通い、技法を習い工具等に慣れてから、 道具を使った感じで必要な物や自分に合う物から
少しずつ工具を買いそろえながら始めるのがオススメです。
とっつきにくい方法ですが、ロウ付け、酸洗いなど基本の技術さえ覚えれば、
基本作業の積み重ねなので、工夫し応用すればかなりの事ができるようになります。
彫金書籍やネットで作り方も色々な方法が数多く公開されており
ほとんど習わずにそれらを参考に製作している人も多いです。
彫金は宝飾業界やインディアンジュエリーでよく使われています。
1点物などのオーダーメイドアクセサリーを作るのにも向いています。
立体的で複雑な形状でなければ作ったアクセサリーを原型として型取りして量産する事も可能です。
【彫金技法による、シルバーチェーンの作り方】
①銀の丸線を用意します。
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シルバーアクセサリーを彫金方法に使う | |
②バーナーでなまします。 (赤くなるまで熱した後、ゆっくり冷ますと柔らかくなります。) | |
セラミックロウ付台(四角大) | |
③なまった状態です。 (白っぽくなります。) | |
④ローラーでつぶします。
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⑤左側は元の銀線、右側がつぶした状態。 | |
⑥つぶすと硬くなるので、再度なまします。 (加工硬化=銀は叩く曲げるなど力を加えると硬くなります。) | |
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⑦適度な長さに切ります。
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⑧チェーンの形に曲げます。 | |
⑨つなげたい部分のみにフラックスを塗ります。 (銀ロウが流れやすくなります。) | |
⑩銀ロウを繋げる部分に置きます。 (パーツは第3の手で固定します。) | |
⑪銀ロウをバーナーで溶かし、ロウ付けします。 (細く薄いパーツは熱しすぎて溶かさない様に注意。) | |
⑫ヤスリで繋いだ部分を成型後、酸洗いして、綺麗にします。 (酸洗い=硫酸でフラックスのヨゴレなどを取り除きます。) | |
⑬「銀黒」で全体を黒く燻します。 (外側はピカピカ、内側は黒いチェーンにします。) |
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⑭スパイラルホイールで外側を磨きます。 | |
⑮ハンドメイドのシルバーチェーンが完成しました! | |
【ロストワックス】
ロストワックス製法とは、ワックス(ロウ)物を 削ったり、盛ったりしてアクセサリーの原型を作る方法です。
作った原型から型をとり、型に溶けたシルバーや金など 貴金属を流し込み鋳造してアクセサリーを作ります。
石工型を作る際に、熱でワックスを溶かし消失させるので「ロストワックス」製法と呼ばれています。
今現在、シルバーアクセサリーの作り方で最も主流なのが、このロストワックスによる製法です。
ワックスは地金に比べて柔らかい為、
スパチュラやキサゲ(先端が尖った金属の針やヘラ状の物)、 ヤスリ、糸のこで、簡単に切削加工する事ができます。
失敗しても溶かしたワックスを盛り付ければ何度でもやり直しができます。
ゴム印や石鹸彫刻に近いイメージかもしれません。
特徴としてはワックス自体が柔らかいので、製作すると柔らかい曲線の造形に向いており、
ポッテリしたボリューム感や流れるような曲線のライン、 表面に様々なテクスチャーを表現するにも向いています。
貴金属を削らないので貴金属削りクズが無く、貴金属を無駄にしません。
ワックスには色々な種類があり、 チューブ状(指輪用)、ブロック状、シート状、ワイヤー状などの物があります。
これらは作りたいアクセサリーのデザインに応じて選びます。
硬さが何種類かあり色分けされており、好みや製作物により使い分けますが、
青(ブルーワックス)が一番よく使われています。
紫(パープルワックス)が少し硬く、
緑(グリーンワックス)はさらに硬くなるので エッジをきかせやすくなり、
ソリッドな造形に向きますが割れやすくもなります。
また歯科においてクラウン(歯の金冠)を作る際、ほぼ同じ物が使われ種類も豊富な為、
歯科技工用ワックスを使う人もおります。
作ったワックスを貴金属に置き換えるには、鋳造機や電気炉を購入し自分で行う事もできますが、
お手軽さ、仕上がりの綺麗さ、時間短縮から 専門の業者等にキャスト(鋳造)の発注するのがオススメです。
ネットで「アクセサリー、ワックス鋳造」などで検索するいくつか業者が見つかり、
お近くにない場合も宅配などで対応してくれます。
【製作工具】
①時計用精密ドライバーの先端を加工して使っています。 | |
②ニードル類、似てますが太さや形で使い分けています。 | |
カニコンパス NA3 105mm |
【ワックスによるシルバー製作工程】
ワックス造型を始めたいけど何を購入すれば良いかわからない方は
ワックス造型スターター工具にはじめに用意したら良い
オススメ工具を紹介していますので、参考にして下さい。
(量産する場合)
原型からゴム型を作り、ゴム型でワックスを量産します。
ワックスに湯口を取り付けツリー(1本の木の様に)状態にして石膏に埋没させます。
石膏が固まったら、熱でワックスを溶かし消失させ石膏型を作ります。
その石膏型に溶かしたシルバー(その他貴金属)を流し込みます。
固まったら石膏型を壊し取り出します。
取りだしたシルバー(その他貴金属)の湯口や表面をヤスリやバフで磨いて仕上げます。
(ジュエリーCADによるワックス造形)
ワックス造形はコンピューターと器械(ジュエリーCAD)により造形する事も可能です。
最近は造形機(3Dプリンター)とコンピューターの技術進歩が進み かなり複雑な造形が出来る機種も安価になっている為、
大手ブランドや、中小プロ、アマ問わずジュエリーCADによるワックス造形を行う事が多くなっています。
アルファベットや同じ模様の繰り返すデザインなどは手仕事では難しく器械造形に向いると言えます。
ジュエリーCADはまずCADソフトを使ってジュエリーのデータを描きます。
その後原型を作る機械、造型機がデータ通りのジュエリー原型を作ってくれます。
ジュエリーCADソフトにはいくつかの種類があるので、適した物を選びます。
データを出力する造型機もいくつか種類がありますが造型方法から大きく分けると3種類です。
◆切削機 :ワックスをデータ通りに刃物で削り出してくれる機械です。
◆インクジェット:細かい粒子のワックスを吹き付けて積層して作る機械です。
◆光造型 :紫外線硬化樹脂に紫外線をあてて造形させる機械です。
どの造形方法が良いのかというと、特性が異なります。
切削造形は平らな面が綺麗ですが、立体的な部分があると 彫れる部分と彫れない部分がでてきたりもしますので
パーツを分けるなどの工夫が必要です。
光造形とインクジェットは立体的な物でも高精度・精密造形出力が可能です。
比較すると光造形は仕上がり表面が粗いので、若干表面処理の必要があります。
【シルバークレイ(銀粘土)】
シルバークレイとは、その名のとおり銀粘土という素材を使って造形して作る方法です。
銀粘土とは、純銀の微粉末と水分とバインダーという結合材の3種類が混ぜてある水性の粘土素材です。
普通の粘土の様に造形する事ができ失敗しても練りなおして作り直しも簡単です。
形ができたら乾燥させてガスコンロなどで焼くと、
結合剤のみが消失し 純度99,9%の純銀製のシルバーアクセサリーができあがります。
彫金やロストワックスと違い専門技術や専門工具を必要としないので 一番簡単に始められる方法ですが、
素材が粘土の為、粘土細工風な物が出来上がります。
店舗で販売されている様な、精密なアクセサリーの造形には向いていませんが、
出来上がった銀の美しさは同じなのでシルバーアクセサリー造形の魅力は十分に楽しむ事ができます。
◆銀粘土は相田化学工業の「アートクレイシルバー」
◆三菱マテリアルの「PMCシルバー」
の2製品が製造・販売されています。
【アクセサリー製作に参考になる書籍】
◆日本宝飾クラフト学院 ワックスで作るジュエリー
◆日本宝飾クラフト学院 オリジナルジュエリー入門
◆ワックスで簡単!誰でも作れる本格シルバーリング
◆自分で作る本格シルバーペンダント